第1回:ルール作りを経験

道場リポート

2018年4月21日15:30〜17:00

やったこと

01 はじめの挨拶・自己紹介
02 ゲームを支える3つの要素の説明
03 ベースとなるトランプゲームの要素分解
04 要素分解したゲームのルールを改善
05 チームごとに発表&講評
06 終わりの言葉

ゲーム文学全集を作ろう

「米光です。第一回を始めたいと思います。よろしくお願いしまーす。」
米光さんの挨拶と自己紹介から始まった第一回。

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今シーズンのテーマは、「ゲーム文学全集を作ろう」。
文学をモチーフにしたアナログゲームを作っていく。
道場生の惣坂真夏 が作っていた芥川龍之介『蜘蛛の糸』のゲームを米光さんがテストプレイしたのがきっかけだ。「文学テーマって面白いな、そうだ講座でひとりひとりが作って並べたら文学全集になるじゃーん」と思いついたのだった。

28人いる道場生がぶじ全員作れたら、28巻が並ぶことになる。

「みんなでサポートしあいながら作っていこうね。講座と言わずに道場にしてるのは、実践がメインだからです」

かっこいい文学全集にするために、グラフィックデザインをデザイナーの出嶋勉が全面協力する。

 

ゲームを支える3つの要素

ゲームには「システム」「モチーフ」「雰囲気」の3つの側面がある。

「モチーフがない抽象性の高いゲームもありますが、今回は文学作品をモチーフにしてつくっていきます。モチーフがあるゲームの何がいいかって、ゲームのルールを説明するのがすごく楽になります。将棋は、戦争をモチーフにしている。だから王様を取れば勝ちだっていうのがパッと伝わる。他は取られても王様が残っていれば負けませんっていう説明がわかりやすくなる。ぜんぶ数字のコマで「5のコマを取ると勝ちだが、それ以外は取られてもだいじょうぶ」って言われるよりわかりやすい」

ゲームの要素のもうひとつ「雰囲気」とは、ゲームを遊んでいる状況や雰囲気のこと。
わいわい遊ぶゲームなのか、ガチガチの思考対戦のゲームなのか、のんびりプレイするのか、じっくり遊ぶのか。ゲームを遊んでいるプレイヤーや場がどんな雰囲気になるのか。そこを頭に描いて作るとブレにくい。

「もうひとつの要素「システム」については、今回、実践的に体験してもらいます」

「システム・モチーフ・雰囲気」の3つを相互に支え合うようにコントロールしながら作っていくといいゲームができる。

 

ルール作りを経験してみる

ゲームのキモになる部分であり、ゲームならではの要素でもあるのが「システム」。システムの独自性や新鮮さがゲームの楽しさに結びつく。そこで、今回はシステムを支えるルール作りを実践することに。

「ルールを作る感覚がわかってたほうが、モチーフを選びやすいからね。ルール作りってかんたんにできるものだなーという感触を得てもらいます」

いきなり作品決めに突入しないことが米光さんらしいところだ。

3人1チームを作って、ベースとなるトランプゲームを遊ぶ。さらにこのゲームを改善するとどう変わるかの実験をした。

 

ベースゲーム

トランプの1〜7のカードを使う。各プレイヤーに1〜7のセットを配る。プレイヤーは配られたカードをシャッフルして山にし、各自自分の前におく。
「せーの!」で、全員が山札のいちばん上のカードを表向きに出す。いちばん数字が大きいカードを出した人が勝ち。出たカードを得点としてゲットする(自分の山に混ぜない)。
勝った人が複数人いる場合は、もちこして、次に勝った人が得る。
最終的にカードをたくさん取った人が勝ちとなる。

100%運で勝敗が決まるゲームである。これを改善していく。

 

ゲーム改善の手順1 要素を書き出す

改善するルールを考える前に、要素を書き出す。

「いまプレイしたゲームの全体像をプラモデルだと考えてもらって、そのいっこいっこのパーツを書き出していくイメージです。たとえば、「トランプ」「ひとり7枚」「大きい数字が勝ち」「持ち越し」とかね」

ゲーム改善の手順2 ひとつだけルールを変えてプレイ

要素を書き出したあと、ベースゲームからルールをひとつだけ変えてプレイした。
そのルールとは「手札を見てもよい」。
ひとつ変えるだけで、運100%のゲームから自分の行為が勝ち負けに反映するものに変化した。

ここからさらにチームで改善していく。

このとき、ルールを付け足すのではなく、ルールを変えることを意識してみる。

「ルールを改善するときにやりがちなのが、ルールを付け足すこと。付け足すほうがやりやすいからね。でも、付け足さないで変える。付け足すと当然、プレイヤーがルールを習得する負荷が上がります。なるべくルール数は増えないほうがいいです」

2項目ぐらいで、各自がルール改善案を書く。書けたらチームで共有し、ひとつを選んでプレイしてみる。

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「アナログゲームのすばらしいところは、改善がいくらでもできるところです。改善するときのコツは、なんでもいいと思って気楽にやること。アイデアは、赤ちゃんみたいなもの。ちょっとバブバブできるようになったら喜ぶぐらいの感覚でやってください。他人のアイデアに対してもその意識で受け取ってください。「そんなのダメだよー」とか言うのは、ひどい人間だからね。赤ちゃんに対して「歩けないのダメじゃん」って言ってるようなものです」

 

ゲーム改善の手順3 さらに改善

プレイしたものをさらに改善し、ルールを共有して選んでプレイするのを繰り返す。

「さっき改善したルールでプレイしたときに発生した困りごと、矛盾があったら、そこを改善するのでもいいです。こつはなるべく小さく改善していく。あれもこれも改善しようとしないことです。いっぺんに変えると、どこを変えたから良くなったのか悪くなったのかチェックしにくいからね。小さく変えてプレイしてみるというループをすばやく繰り返すといいです」

チーム発表

現状のルールを共有し、米光さんから講評をもらう。

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最後に、改善案の一例をみんなでプレイした。米光さんが以前やったときにすごいと思ったルールだ。改善点はひとつだけ「2番目に大きい人が勝ち」(ベースゲームは「手札を見てもいいバージョン」)。

「どうだった? たったひとつルールを変えるだけで遊び心地がぜんぜん変わるよね。これがゲームのルールの面白さですなー」

次回はモチーフ決めだ。

「どの文学作品をモチーフにしたいか考えてきてください。ぼんやりと、どんな作品にするか考えてきてね」

(テキスト:与儀明子)


 

それぞれの視点から

 

ゲーム道場1-1提出用(修正済み)ゲーム道場1-2提出用(修正済み)

(高良玉代)


 

「分析すると同じ方向に絞っちゃうから!」
「普段使わないあたりの脳が動いていると面白い」
など米光さんの言葉によって、自分の発想が狭く凝り固まっているなぁと気付かされました。

(山屋健)


 

トランプゲームのルールを1つ変えるだけで、こんなに盛り上がり方が変わるとは。自分ではおもしろい変更案だと思っていても、チームで試してみると、その変更が人の気持ち・行動に影響を与えず、盛り上がらないことがたった1ゲームでわかりました。すぐに試せる場があるのはいいことだと思いました。

印象に残ったのは、「ゲームのアイディアは(生まれたばかりの)赤ちゃんだから、あれができてないこれができてないなどと言ってはいけない」という米光先生の言葉です。他の人のアイディアを責めないように自戒するとともに、自分が責められたときには堂々と「赤ちゃんなのでよろしく」と言っていきたいと思います。

作りたいゲームについてはぼんやりとですが、「走れメロス」をモチーフにした言葉遊びのようなゲームか、「人間椅子」で触感を使うものができないか、と考えています。

(高石薫子)


 

本による学びと異なるのが、自分や他の受講生の案に対して、米光さんが経験談に基づく所感や意見を返してくださること。そしてその前段階として、ゲームづくりという共通の目的をもった受講生たちが一堂に会し、テストプレイや意見交換をできることも意義深い。

(中村維案)


 

「『せーの』のあとで何か面白いことを言って誰かが笑ったら勝ちです」というのが、もっともゲーム経験の少ないメンバーから出された改善案だった。元のルールは1から7の数字が書かれたカードを一斉に出して勝ち負けを決めるという単純なもので、私の手許には「1は7に勝つ」というありふれた案が記されていた。素人ならではの斬新な発想——というのはたいてい漫画的な嘘で、そういう人の出す案は九分九厘誰もが思いつくものなわけだけれど、とはいえ冒頭のような発想はまず自分の頭からは出てこない。ゲーム文学全集をつくるというコンセプトを前に、「この作品ならこのゲームのこのシステムだな」という案を並べていくことなら、おそらく(それなりに、だが)できる。しかし、それでは表面だけすげ替えた“キャラゲー”か、“よくできたゲーム”にしかならないだろう。今回の講座で、その作品ならではの文字味を活かした一品物のシステムを作れたらいいなと思う。半年間、がんばります。

(Yasushi Kato)


 

最初のベースゲームはプレイヤーの介入要素が無くつまらないものでしたが、
ちょっとずつ手を加えて着実にゲームが進化していくのが分かり面白くなりました。
前に同講座でゲームを作った事がありますが、
今回も楽しくゲームを作っていこうと思っています。

(中村光太郎)


「ルールを付け足す」と「ルールを変える」の違いが、やってた当初はよくわかりませんでした。「思いついたこのルール、付け足しと変更のどっち? どうやって判定したらいいの?」と思い悩み、頭がフリーズ。ルールという抽象的なものについて考えるのって難しい。

片付け本によく書いてある「物をひとつ買ったらひとつ捨てましょう」みたいに、ひとつ捨ててひとつ入れたらいいのだろうか。それとも変更量が大きいとダメで小さいとOKみたいな量の問題なのだろうか。

講座を文字起こしして、構成して、ようやく、もっと気楽にやっていいらしいと気づく。こんなに気楽にって米光さん言ってるのにねえ、渦中にいると悩んじゃうんですよね。

とまあ、理解まで時間がかかる私にとって、道場リポートを書くこと自体が、よい理解の手立てなのでした。誰のためでもなく自分のためにやっているが、多くの人に届くといいな。

(与儀明子)


道場主からひとこと

アナログゲームのいいところは、思いついたらすぐに作って、すぐに遊んでみることが可能だってことだ。以前ブログに「汚く作ってやりなおせ」スピリッツについて書いた。汚くてもいいので、まずは作ってみて、それからあれこれブラッシュアップするとよい。アナログゲームは、それが、とてもやりやすい。
今回、トランプを使って、それを体験してもらった。たいしておもしろくないルールで遊んで、それをどんどん改善していく。最後に、各チームで改善したルールを共有する。ちょっとだけの改善なのに見事にみんなまったく違うゲームになっている。60分もかけてないのに、何個もの新しいゲームができあがっている(まだ、おもしろいかどうかは考えない!)

思いついたら、その日のうちに作って、その日のうちにプレイして、ぜんぜんおもしろくなーーーいって唖然として、ちょっと改善して、またプレイして、ってやってるうちに、どんどんへんなものになって、なんかおもしろいものになるといい。

そういうふうに作っていけば、作っていく過程がゲームのようで、楽しい。


ゲーム会リポート

17時で道場が終了したあとは、教室を移動して19時までゲーム会がある。

有志が持ち寄ってきてくれたゲームの山に集まり、気になるものを探す道場生たち。
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6卓くらいに分かれて遊ぶ。

私は、米光さんの作った「想像と言葉」「好きって言うゲーム」「はぁって言うゲーム」をプレイする卓に参加した。

初対面の人とも一気に打ち解けた。この人、アニメに詳しいんだな、とかいろいろ見えてきた。一緒に遊んだ新入りの3人が、講座リポートを書いてくれた。ゲームで打ち解けた効果も大きかったのではないか。突然「講座をリポートするサイト作りたい」って言い出した人間に、乗ってくれる人がいるというのはありがたい。

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「好きって言うゲーム」は、「色っぽい好き」や「ダメな感じの好き」など、8種類の好きから指定されたものを演じて、どれなのか推理しあうもの。みんなで「好き!」「好き……」と言い合う。気持ちを作ってから演じる人や、目に感情を込める人、淡々としてる人などそれぞれの特色が出る。「はぁ」「好き」「ぷー」「んー」「笑み」の5種類がある。

他の卓では、「トロイカ」をやったり。

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道場生が作ったゲーム「「曖昧フェイバリットシングス」をやったり。プレイヤー同士で好きなもの&ことを当てっこして語り合いするゲームだそう。盛り上がっていた。

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19時からは居酒屋に移動し、さらにゲームを遊んだり飲んだりしたのだった。

 

(与儀明子)

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