第2回:アイデア発想法

道場リポート

2018年5月19日15:30〜17:00

やったこと

01 導入
02 最近のゲーム紹介
03 講義:アイデアを出すコツ
04 作品決定
05 ワーク1:作品の要素分解
06 ワーク2:要素分解したものを観察する
07 ワーク3:一回バカになって考える
08 情報共有
09 ワーク4:失敗と成功を書き出す
10 講義:ゲームを作る上での注意点
11 事例紹介:米光さんが作った「はっけよいゲーム」
12    結び:雰囲気からゲームを作る

 

01 導入

第2回。いよいよどの作品をゲームにするかを決める。

「作品を決めたら、どういうゲームにするかが決まってくる。それでプロトタイプを作って、次回、みんなで遊んでみましょう」

という米光さんの話に、「展開が早い!」と不安そうな道場生たち。

「だいじょうぶですよ。ちゃんとそこまで、今日ステップを踏んでやりますから」

 

02 最近のゲーム紹介

「モウルスカルタ」

作品を決める前に、最近のゲームの紹介があった。

「ゲームにもいろいろあるんだって知ってもらえると、アイデアを出すときに幅が広がるからね」

ひとつは、ゲームマーケット2018春で発売された「モウルスカルタ」。

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アプリでモールス信号を打てるようになっていて、親が発信した信号を聞き取り、札を取る。「モールス信号でカルタをやる」というワンアイデアで成立しているシンプルなゲームだ。

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「もしバナゲーム」

もうひとつは、「もしバナゲーム」。

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自分が死ぬときにどうしてほしいかなど、もしものための話し合いゲームだ。
医療や介護の現場、老人ホームなどでプレイされている。

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「これまでゲームが入ってこなかった分野にゲームでアプローチしようとしている人がたくさんいる。「もしバナゲーム」はその代表例です」

客層に変化が

ゲームマーケットの来場者は2日間合わせて2万人を突破した。出展者も来場者も年々増加している。家族連れやカップルが増え、裾野が広がっている状況だ。

「で、そこでだよ! 我々が、文学をテーマにゲームを作ることは、ひとつの武器になりますよ。ゲームをそんなにやったことがない人でも、文学が好きな人や、その作品に興味がある人にリーチする可能性がある」

気持ちが盛り上がったところで、ワークショップスタート!

 

03 講義:アイデアを出すコツ

 

「では、いまから、こんなゲームになるといいなあ、というイメージを作ってみる、というワークショップをやります」

アイデア出しのときは、「いいのが出たと思いこむ」「正解を探す」「できないと思う」の3つをやらないようにすること、という話があった。

「このアイデア、いい! って思ったら、そこで止まっちゃうんですよ。どんどん出して、出揃ってからこれいいねって判断したほうがいい。さらに、これが正解だと思っちゃうと、他のアイデアが出なくなります。ゲームってエンターテイメントだから、新鮮さは大事です。凡庸なものはつまんない。正解じゃないほうが面白くなります」

「これゲームにならないと思ったものがゲームになったときのほうが面白い。不可能だと思ったものができてるってことは、新鮮なものができてるってことだから」

04 作品決定

配られたプリントの右上に、ゲームにしたい作品のタイトルを書き込む。

 

05 ワーク1:作品の要素分解

作品に出てくる要素を、プリントのなかの15マス×3列、合計45個の空欄に書き出していく。曖昧な記憶でOKだし、調べて書いてもよい。

たとえば「走れメロス」だったら、「メロス」「走る」「邪智暴虐の王」「セレヌンティウス」「竹馬の友」「ディオニッソス」「孤独」「3日目の日暮れまで」「妹」「結婚式」「宴会」「橋が崩れる」「悪いやつ」「疲れて寝転がる」など。

「こんな人いたな、こんな言葉あったな、こんなシーンあったな、テーマこれだなとか、なんでもいいです。書きたいだけ書いていく。制限時間を決めて一気に。もう書いてる間、呼吸しない勢いでね(笑)。とりあえず5分で」

 

06 ワーク2:要素分解したものを観察する

同じレイヤーのものを探す

書き出した項目のうち、同じレイヤーにまとめられるものを見つけて、丸をつけていく。
たとえば「走れメロス」だったら、「盗賊」「橋壊れる」「濁流」「寝坊」、これらはすべて「妨害」というレイヤーでまとめられる。
「登場人物」というレイヤーでまとめてもいい。何かの共通項を見つけて、その項目を選びとる。追記してもいいです。

作品のなかでコレクションされているものがあるか探す

もしくは、作品のなかで、コレクションできるものがあればそれにも丸をつける。
たとえば『桜の森の満開の下』では、惚れてかどわかしてきた女の人に「首を狩ってこい」頼まれて、盗賊が人の首を狩ってコレクションする。

「同じレイヤーのものを探す、コレクションできるものを探す。これは、カードゲームにするときに、複数個あるものはカードに書きやすく、扱いやすい。それをピックアップしよう、という段階です」

レベルがあるものを探す

レベルがつけられそうなものもあったら、それもピックアップする。
たとえば「走れメロス」で「友情」をキーワードに書いたとする。作品では友情レベル1、友情レベル2、友情レベル3というふうに、友情レベルが問われていると捉えれば、それも多数あるものとして考えることができる。

「どういうふうにカテゴリー分けするかは人それぞれの考え方によるので、好きにやっていいです。「走れメロス」の「妹」は多数ないから丸をつけないって考えてもいいし、キャラクターというカテゴリーの複数のキャラの一人と捉えて丸をつけることもできます」

 

07 ワーク3:一回バカになって考える

 

「丸つけた? では、ここからじょじょに、どんなかんじのゲームになるといいかなーって考える段階に移っていきます」

作品のどこをピックアップするのかが、ゲーム化のポイントになる。

「そのために、みなさんには一回バカになってもらいます。とはいえ、みなさん賢いですからね。いきなりバカになれと言われても難しいだろうと思って、5つのバカを挙げてみました」

・一番のメインしか覚えていないバカ

(「走れメロス」の例)メロスめっちゃ走る

・最後しか覚えてないバカ

(例)メロスが全裸

・一番どうでもいいことを覚えてるバカ

(例)邪智暴虐って言葉がかっこいい

・欲望が激しく動くところしか覚えてないバカ

(例)寝転がって「起きたくねー」

・国語や道徳の点数は高いバカ

(例)友を信じる力は尊い

 

「それぞれのバカになってもらって、作品について一言で説明してください。勢いづいたら他のタイプのバカになってどんどん書いていって。「メロスめっちゃ走る」ぐらい簡潔にね。これも5分くらいでいけるよね。よーいスタート。」

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(書き込み例)

08 情報共有

4人チームになって、見せ合って雑談をした。

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09 ワーク4:失敗と成功を書き出す

「いま、バカになって書いてもらったのは、国語の授業でいうところの「作品の本質をつかむ」ってことをやったわけです。バカになってやったので、賢い人が考える本質からズレてたりしますが、そのほうがモノを作るときにはいい。正しい本質などいらぬ。バカな本質から、成功と失敗を導き出します」

たとえば「メロスめっちゃ走る」だったら、成功と失敗は、「日没までに間に合う、間に合わない」と書く。

 

「まあ、なんでもテキトーでいいんす。ここはまだ考えてる段階なので。いま、それぞれのバカが一言で書いたものの横に、勝ち負けを書いてみてください。かんたんにでいいので。3分くらいでいけるよね。よーいスタート」

 

10 講義:ゲームを作る上での注意点

注意点1 まずはカードで考える

ここで、ゲームを作る上での注意点の話となった。
まず、カードゲームで考えることにしよう。

「最初はカードで作るのが、考えやすいし、幅が広いし、おすすめです。カードだと、中心部だけになるから、シンプル。作ってるゲームが面白いかどうかがわかりやすいです」

さらにサイコロ禁止令が出された。

「サイコロを使うのは案外むずかしい。しかも作ってるときにつまんなさに気づかない。サイコロを振るだけで、なんとなく面白いかんじになっちゃうので。いやいや、サイコロでいいアイデア思いついたっていうなら覆してもらってもいいんだけど、ひとまず使わない想定で考えてください」

注意点2 シンプルをこころがける

「初めて作るときは、ボリューム感を誤りがちです。初めての人はシンプルなゲームを作ることをこころがけてください。カード13枚ぐらいで、多くても20枚ぐらいで、いったん作ってみる。枚数を増やすのは後からできますからね」

 

11 事例紹介:米光さんが作った「はっけよいゲーム」

事例:どれだけシンプルにするか

シンプルなゲームのシンプルさがどのくらいかを知るために、「はっけよいゲーム」をプレイした。

「いまからルールを説明します。これもゲームを作るときの肝です。ルールを説明する時間が長いと、聞いてるだけで飽きて、ゲームをやりたくなくなることが多々あります。短く説明できるゲームを作ることが大切です」

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【はっけよいゲーム】
立会いシーンと、勝負シーンの2段階あるのが特徴。カードは、「はっ」「け」「よ」「い」「オールマイティ」の掛け声カードと、「のこった」カードがある。勝負シーンになると、「のこった」カードを「のこった」「のこった」言いながら出していき、出せなくなったら負け。のこったのこった言いながら最後まで手札がのこった人の勝ちとなる。立会いシーンでは、のこったカードを集めながら、うまく掛け声カードを出していく。

プレイ後にマニュアルが配布された。
「いま、口で説明したらかんたんだったものが、紙にするとこれぐらいの文量になってしまう。最初に作るゲームのボリューム感は、これぐらいが限界だと思います」

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12  結び:雰囲気からゲームを作る

次回までに、どんなゲームになるかを考えてくることに。しかし、おもしろいゲームとして成立するとか考えなくていい。

「ゲームの作り方はいろいろあります。ゲームのルールをたくさん知っている人は、あのタイプのゲームのルールをこう改変して……と考えがちですが、今回はモチーフから作っているので、他のやり方をおすすめします。面白くなる可能性が大きいなーとぼくが実感してるのは、ゲームをしている雰囲気から考えること」

たとえば、「はっけよいゲーム」は、「のこったのこった」って言いたいという気持ちを起点に発想した。テンポよく言いたい→カードはドンドン出す→あんまり複雑なルールで戦略性が必要だとテンポが落ちる→なにも考えずに出せるようにしよう→じゃあその前に立会いシーンをつけよう、というふうに考えていったという。

最初に、そのゲームを遊んでいる雰囲気を想像して、イメージを固めてみる。真剣にお互い無言で遊ぶのか、わいわいやるのか、プレイヤーがどういうふうに動いているのか、どんな感想を持つのか、つい叫んじゃう言葉は何か、終わったあとの感想戦でどういうふうに言うのか、想像する。

「どんなふうに面白いゲームなのかイメージすることが大切です。今日書いたシートを元に、それぞれのバカになって、それぞれのゲームをプレイしている様子を考えてきてください」

(テキスト化:与儀明子)


《ゲーム化予定作品》

ゲーム化予定として、道場生から挙がっている作品一覧。第一候補、第二候補などもふくみます。
太宰治いちばん人気! 作品かぶりは宮沢賢治「注文の多い料理店」と小林多喜二「蟹工船」。

太宰治「走れメロス」
太宰治「畜犬談」
太宰治「斜陽」
太宰治「人間失格」
太宰治「富嶽百景」
太宰治「雪の夜の話」
太宰治「女生徒」
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
宮沢賢治「ツェねずみ」
宮沢賢治「注文の多い料理店」
江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」
江戸川乱歩「人間椅子」
江戸川乱歩「怪人二十面相」
海野十三「蠅男」
海野十三「三角形の恐怖」
坂口安吾「桜の森の満開の下」
中島敦「名人伝」
谷崎潤一郎「痴人の愛」
森鴎外「舞姫」
小林多喜二「蟹工船」
小栗虫太郎「白蟻」
久生十蘭「顎十郎捕物控」
芥川龍之介「羅生門」
小川未明「赤い蝋燭と人魚」
梶井基次郎「桜の樹の下には」
夢野久作「死後の恋」
泉鏡花「龍潭譚」
夏目漱石「こころ」
シェイクスピア「テンペスト」
シェイクスピア「ハムレット」
シェイクスピア「お気に召すまま」
シェイクスピア「マクベス」


それぞれの視点から

ゲーム道場2-1最終

ゲーム道場2-2最終

(よんたま)


 

第一回の講座ではノートとペンを忘れた。今回はノートをしっかり小脇に抱えて参加したけど、ペンを忘れた。その講座で、ゲームする文学作品を選び、どうやってゲーム化するかを学んだのであった。ゲーム化のモチーフに選んだのは久生十蘭の「顎十郎捕物控」。捕物帳というと人情噺を思い浮かべるかもしれない。ちっちっちっ。こいつはバリバリの本格ミステリなんだ。となるとストーリーをそのままモチーフにしたらネタバレになっちゃうじゃん。それに全24話、どれを題材にしたらいいのか。もしかして:ミステリの連作はゲームに向いていない。
できないと思わない。
だれ? いま頭の中に話しかけたのは。
テレパシーじゃなかった。当日米光さんが話したゲーム作りの三つの指針はこうだ。
いいアイデアがでたと思わない
正解のアイデアだと思わない
できないと思わない
マーベラス!
この指針がどのくらい素晴らしいかというと、これを書きながら電車を乗り過ごしたくらいだ。遅刻するよ。

(松永 肇一)


 

今回は作品決めとカード候補のピックアップを行った。十作品ほど考えてきたが、ゲームにしやすそうなタイトルを選ぶと“正解を選んでしまう罠”にはまりやすいとのことで、一番ゲームにしずらそうなシェイクスピア作「テンペスト」を選んだ。ところが被りを心配して外した乱歩はおらず、一方でシェイクスピア作品がほかに二人いることもわかり、MAX替えたい。その後、“全部ゲーム”にしようとする罠を回避しつつ、作品のポイントを抽出する方法としていろいろな馬鹿の仮面を被って記憶している一行だけを書き出すというやり方を習った。バカ1「魔法で島に閉じ込められます」、バカ2「醜い怪物と不細工な道化に暗殺されそうになります」。ふむ、いい感じに気の滅入りそうなゲームができそうだ。替えたい。ロミオとジュリエットでせつないラブロマンス!とか言いたい。言ってみたい。おお、あなたはどうしてロミオじゃないの? だって恋愛物とか無理だし。

(Yasushi Kato)


 

宮沢賢治作『ツェねずみ』でゲームを作る事に決めました。知名度が低い文学作品だと思うので、作品の素晴らしさを多くの人に伝えられるゲームにしたいです。短編なので、一部を切り出さず、全体を使ってゲームを作る予定です(米光先生の意図に反しますがお許しを笑)。

ルールで今考えているのは、ババ抜き(ジジ抜き)に近いかもしれません。ツェねずみは必ず誰かに文句をつけるので、「ねずみカード」と「文句を言われる人物(例:イタチさん)カード」の2種類にカードを分けて、2枚組のペアができたら、テーブル上に置き(捨て)ます。テーブルの上にヘイトが溜まっていき、最後にジョーカーの「ねずみ捕りさんカード」を最後まで持っていた人が勝ち?(死刑を執行するのは負け?ねずみ捕りさんはわざとねずみを捕まえたわけじゃないから云々……)。そんな感じで楽しみながらゲーム作りを進めています^^

(高井 九)


 

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(与儀明子)


道場主からひとこと

アイデア出しのコツは、とにかくアイデアをたくさん出すことだと思う。「これ、すごい!」とか「正解でた」と思っても、まだ出し続ける。
実はアイデアの段階ではあまりにもバカバカしいと思っていたものを育てると、すごいものになったりすることがあるのだ。そうなると強い。
なにしろ、バカみたいなアイデアは、ふつうの人は育てようとしない。だから、それが成立してしまうと、だれも考えないようなフレッシュなモノができちゃうのだ。
アイデア出しで「すごいの出た」と思って手を止めてしまう人は多い。それどころか「そのアイデアはこれこれこうでダメだよ」とすぐ切ってしまう人も多い。もったいないなー。できそうもない、ダメそうな、バカバカしい、でも魅力的なものほど、おもしろくなる可能性を秘めているのだ。
ゲームは楽しみのために遊ぶものだ。だからこそ、ぼくはこう考えてゲームを作っている。「そこそこ面白いモノを作るのが一番つまらん。すごく面白いものか、とんでもない失敗作か。どっちかしか作らんぞ」


ゲーム会リポート

17時で道場が終了したあとは、19時までゲーム会。
今回与儀がプレイしたのは、「Fuji Flush」「BESTACT」「スタンプグラフィティ」。

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「Fuji Flush」

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それぞれが、手札からカードを1枚出していく。他の人がより大きい数字を出さなかったら勝ち。手札を捨てられる。6枚スタートで手札がなくなると勝利。ただし、すでに出ているカードと同じ数字のカードを出すと、同じ数字の合計値が、お互いの場の数字になる。
1枚出すだけのシンプルさと、誰に協力するかで流れががらっと変わるダイナミックさ!


 

「ベストアクト」

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米光さんの作った「はぁって言うゲーム」の、リメイク版。お題「にゃー」では、「にゃー」の言い方だけで、誘惑する「にゃー」なのか、いかくの「にゃー」なのかなどのニュアンスを当ててもらう。いい大人が「にゃー」「にゃー」「にゃー」。それぞれの猫に対するリアリティラインが浮き彫りに。オリジナルバージョンと違って、一度回答を選んだら動かせないのでより難易度高し。悔しさ増量で、当たったときはより嬉しい。


 

「スタンプグラフィティ」

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お絵かきして、なにを伝えたいかを当ててもらうゲーム。しかし、描いていいのは決められたマークだけ。しかも回答は複数人のリレー形式。「前の人、なにを伝えようとしてこうなったの……?」と悶絶。回答者は妄想するしかない。想像のジャンプと終わったあとの感想戦が楽しい。


他の卓では、「イヌがきた(Here Comes the Dog)」「デッドマンズドロー(Dead Man’s Draw)」「ザ・マインド(The Mind)」「コロレット(Coloretto)」などがプレイされていた。

 

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(テキスト:与儀明子)

 

 

 

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