第4回:プレイコストを下げる

道場リポート

2018年7月21日15:30〜17:00

やったこと

01 導入
02 進行状況確認
03 ゲーム紹介
04 白紙を折る
05 講義:プレイコストを下げる
06 講義:説明に最低限必要な4つとは
07 ワーク:シート書き込み
08 ワーク:チーム作成
09 講義:説明のコツ
10 ワーク:説明の実践
11 ワーク:改善案を考える
12 ワーク:説明の実践
13 ワーク:改善案を考える
14 結び

01 導入:ゲームの豊かさとはなにか

珍しく、米光さんはゆっくり話し始めた。

「ゲームって、ひとつの勝ち方しかないとつまらないんですよ。プレイ途中で、あーもう絶対あの勝ち筋しかないじゃんってなったら、残りのプレイ時間がただの作業になる。いろんなやり方があって勝つか負けるかわからない、いろんなチャレンジできるゲームがいいゲームです」

そして今度は、現実世界の豊かさについて語り始めた。

「現実世界もそうで、たとえば記憶力がいいやつだけが勝つ社会だとつまんない。いろんな勝ち方があるほうが豊かです。……たとえば、講座の前日に資料をがんばって作った人が、年取って記憶力おとろえててUSBメモリをPCに差し込んだままでさ……」

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事態を察した道場生から笑いが起こる。

「そのまんま家を出て、しまった資料がないって状況になっても、この社会は豊かですから。準備通りに進む講座より、まっさらな状態でみんなと楽しく講座をやることのほうが豊かなんだなーっていう。経験を積むとそれができるようになるんだよ!」

というわけで、第4回は、白紙1枚を使ったワークを通して、プレイコストを下げるための方法を学んだ。

02 進行状況確認

1:ゲームとしてまだ回らない
2:ゲームとして回らなくはないが、つまんない
3:ゲームとして回って、かつ面白い

3つのステージのうち、1が4人、残りは2の状態。

03 ゲーム紹介

・『ぶくぶく』(原題Land Unter)

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水位が上がって羊が溺れ死ぬというドイツのゲーム。
1〜12の水位カードと1〜60の天候カードがある。
天候カードのうち何枚かをプレイヤーに配り、手札とする。
水位カードは、たとえば1だと平和な様子で、羊が島にいる状態。12だと、羊が溺れている状態。

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この水位カードのうち2枚をオープンにして、天候カードで競っていく。

全員がいっせいに天候カードを出し、いちばん数の多い人が好きなほうを取って、2番目に数の多い人が残りを取る。いちばん水位の高い水位カードを持っている人がライフを1つ減らす。ライフがなくなったら負け。

「これのメカニクスのすごいところはね、状況に応じてカードの意味が変わってくるところ。競りのゲームってだいたい、欲しいカードって集中するじゃない? 欲しいカードのときに強いカードを出すだけになると、勝ち方がワンパターンになる。作戦を立てづらい」
「ぶくぶく」は、基本水位カードを取らないほうがいい、が、どうせ取るなら1番なら2枚中の低い水位のカードが取れる。2番になると残った高い水位を取らざるをえなくなる。

「だから、1番強いのを出せばいいや、弱いのを出せばいいやっていうんじゃなくて、状況に応じて出すことになる。取らないように8出すぞ、という作戦もあるし、ここは取っておくけど大きい数字出して1番取るぞと出したら、他の人に51を出されて、ぎゃー2番ってことが起こる」

さらに、スタート時は全員競り負けたほうがいい状況だが、2ターン目からは変わってくる。
たとえば、スタート時に水位カード「3と9」を競り、Aさんが3、Bさんが9を取ったとする。一番水位の高い9を持つBはライフをひとつ減らす。
2ターン目で、今度は「2と8」を競る。

水位がいちばん高いのは「9」を取ったBさんで、他のプレイヤーが「8」を取ったとしても、ライフを失うのは「9」を持ったBさんになる。だからBさんは是が非でも「2」を取って「9」を「2」に塗り替えたい。CさんDさんとは事情が変わってくる。

Aさんは水位カード「3」を持っていて、誰かが「8」を取るので、自分が「8」さえ取らなければ自分のライフが減ることはない。

プレイヤーの状況によって何を取りたいかどれほど切実かが変わってくる。

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「ゲームの進行が進むにつれて、同じカードでも意味が変わってくる。それが豊富なほうが面白いです。逆に言うと、そこをどう豊富にしていくかが、メカニクスを作る醍醐味です」

・『マンハッタン』

1994年ドイツゲーム大賞受賞。
都市にビルを建てていくゲーム。ビルのパーツを置いて重ねていく。
手札には、ビルを置く位置の指示が書いてある。3×3のマス目があって、赤く塗られた部分に置ける。
この赤い部分は、座っている位置から見た場合の赤い部分である。同じカードでも、プレイヤーによって置ける位置が変わってくる。

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「こういうふうに、カードの意味が持っている人によって変わるというのが、わざとらしくなく自然に入ってくると、ゲームが豊かになります。作戦の練りがいがあるからね」

・『はっけよいゲーム』

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立会いシーンと勝負シーンの二段階からなるゲーム。米光さん制作。
「はっ」「け」「よ」「い」の掛け声カードを出しながら、「のこったカード」を集めて、勝負シーンに突入すると、「のこったのこった」言いながら出していく。

「はっ」「け」「よ」「い」の4種類の掛け声カードは、枚数に偏りがある。そのほうが作戦が立てられるからだ。
どれも同じ枚数だったら、最初はどれを取っても意味が変わらない。偏りがあると、「はっ」は枚数が多くて重ねて置けるから取っておこうかな、とか、「い」のほうが少ないからいいかな、というふうに作戦が立てられる。

「同じレイヤーのものでも意味が変わるように、いろいろ工夫をしてみてくださいましよ」

04 白紙を折る

白紙を4×4マスになるよう折り、縦1列を1ターンにする。

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「作っているゲームを遊んでもらうときに、みんなにルールを説明するよね。それをここに、箇条書きでまとめてもらいます」

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05 講義:プレイコストを下げる

米光さんが作った言葉「プレイコストを下げる」について説明があった。

プレイコストとは、「面白さに到達するためのめんどさ」のこと。
ゲームを買うのが大変。
始める前の準備が大変。
ルールを覚えるのが大変。
そのゲームの面白さよりプレイコストのほうが上だと、人はやらない。

そのため、プレイコストはなるべく下げていくのがよい。

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06 講義:説明に最低限必要な4つとは

ゲームのルールを説明するときに最低限必要な4つの説明があり、それを、白紙のマス目に書いていくことに。

1マス目、構成。コンポーネントとプレイ人数。

どんなカードが何枚あるか、などの使うものとプレイ人数を書く。
2マス目、勝利条件と最初の準備。
勝利条件とは、どうなったら勝ちか。
最初の準備は、ゲームを始めるときに何をするか。

3マス目と4マス目には、どうプレイするかを書く。

「で、このシートに書いたことで、説明はすべて書き尽くしているぐらいにしてください」

現時点で、書ききれないぐらい細かいルールがある場合、ノイズが入りすぎてる可能性が高いとのこと。

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「ひとまず自分の頭のなかを整理するつもりで、1ターン目、書いてみてくんろ」

 

07 ワーク:シート書き込み

08 ワーク:チーム作成

3人チームを作り、1人が残りの2人にゲームを説明して遊んでもらう。1人7分で交代。

09 講義:説明のコツ

「説明して、遊んでみて、で、7分ですか?」
道場生から質問があり、説明のコツの話になった。

ゲームを説明するときに、最初にわーっとぜんぶのルール説明をしても、聞く側は理解できない。やりながら説明したほうが伝わる。

「7枚ずつ配って2枚出すって説明するよりも、実際に7枚配ってみたほうがいい。その7枚は自分しか見ちゃいけないのか、2枚出すのは表なのか裏なのか、同時なのか順番なのかって、口頭だとどうしても抜けちゃう。やってみせたら、ああ、7枚は自分だけに見えるように持つんだな、とか、オープンで出すんだな、とか、現物の状態でわかる」

ただし、勝利条件は最初に言ったほうがいい。何のためにやってるんだろう? とプレイヤーが思ってしまうからである。

10 ワーク:説明の実践

7分×3人で1周。

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11 ワーク:改善案を考える

3分考えて白紙に書き込む。
ゲームが回らず矛盾した人は、どうすれば解消するかを考える。
回った人は、説明が難しかったところや、誤解を与えたところの解消方法を考える。

P7211283(書き込み例)

12 ワーク:説明の実践

メンバーチェンジして2ターン目。今度は3人×4分で回す。

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13 ワーク:改善案を考える

再度、改善点をメモする。

14 結び:三重人格のススメ

最後に、なぜ人に説明することを体験してもらったのかという話があった。

ひとつは、説明するなかでプレイコストを下げてもらいたいから。

もうひとつは、三重人格になって1人で自作ゲームを遊ぶことを勧めるため。

「自分が作ってるゲームが面白いか面白くないかわかんないときにテストプレイしてもらうのって、ストレスかかるじゃん。無理矢理つきあわせてる感があって。だから、できるなら、テストプレイしてもらう前にちょっとでも面白くしておいたほうがいい。で、これ、自分でできます。いま、幸い3人でプレイできるゲームばかりなので。三重人格になってプレイすればいい」

ゲームを知ってる自分と、知らない二人の人格とで、やってみる。その過程を経てからテストプレイをする。

「三重人格で何回かやって直して、というのを繰り返して、面白さをアップしていってみてください」

(テキスト化:与儀明子)


それぞれの視点から

 

4-1(提出用・改) (1)

4-2(提出用・改) (1)

4-3(提出・改) (1)

(よんたま)


この日、自作ルールのカードゲームで人と遊んで、面白いと言ってもらえた。そして何より、自分が全力で楽しめていた。その熱が続いている。完成までにはまだまだ詰める必要があり、やっぱダメだあぁ〜!という恐れもあるが、この熱はいつでも思い出せるようにしたい。

(中村維案)


米光道場も折り返しました!
米光さん、今回はまさかの資料のUSBを家のPCに挿しっぱなしにしちゃったそうです。
しかし、そんなことは大した問題でもなくワークショップは進みます。
私は当日の午前中に設計し直したできたてホヤホヤのルールと単語帳を引っさげてきました。
今回の講義はゲームのルールを人に伝える練習でした。
何回もルールを作り直してきた私にとってはお手の物です。
ややこしいのは嫌なエンジョイ勢なので、シンプルが好きです。
ただシンプルすぎるか?と心配にもなりますけれど。
さて、ゲーム会、飲み会とアナログゲームに浸かってみていろいろやりたいことが見えてきました。
ゲームといえばデジタルゲームな生き方をしてきたので、アナログゲームというものならではを目指したいです。
今作っているのはデジタルでも表現できるので、次回作とかでチャレンジしたいです。
人間と戦うというか遊ぶゲームは、アナログゲームならではです。
はぁって言うゲームとか、コヨーテとか、相手の表情がゲームの鍵というか必須条件として組み込まれているのが素敵です。
ロジックでゲームを作っていくと、気づくと場や手札ばっかりを見つめるゲームになります。
夢中になるほどに相手プレイヤーのことが意識から消えていきます。
それだと機械で遊ぶデジタルなゲームと変わらないので、アナログゲームには相手の人間を深く組み込みたいのです。

(山屋健)


自作ゲームを人に説明するのって、最初はめちゃめちゃこえーーーー!
でも、話しているときの相手の表情、反応、声、ナマの反応は予想外のことが多くて、わーわーって興奮しっぱなしでした。
道場から2週間後のテストプレイ会では、初対面の方に遊んでもらう体験も。
なんかおっきい川を飛び越えた感ありました。
しかし太宰治「畜犬談」ゲームは迷走中。ツンデレをテーマに、表に犬への悪口、裏に愛情度が書いてあって、本人だけが愛情度を読めない状態で数字を推測するゲームを経て、なぜか「わんわんカルタ」に。わんわん言ってるニュアンスだけで、どの感情か、カルタを取る。でもなかなか演技が難しいので、いろんな犬種のわんわんを言って、当てるのはどうかというアドバイスをもらって迷い中。
ブルドッグの「わんわん」とチワワの「わんわん」って、演じ分けられるのかな……?
まあ、やってみないとわからない。レッツテストプレイ!

(与儀明子)


 

道場主からひとこと

三重人格になって1人で自作ゲームを遊んでみることをオススメしたが、三重人格というほど大げさなことをしなくてもいいのだった。ゲームのメカニクスがちゃんとできていれば、理屈で回せばいいのだった。
正体隠匿の複雑なヤツはさすがに1人でテストプレイするのは難しい。人狼をひとりでテストプレイするのはたいへんだ。
だが、そういうタイプのゲームでなければ、相手の手札等は解らないこととしてほぼ最適手を打つようにしてやってみればいい。
けっこうできる。楽しめる。
てきとうな紙切れをひとりでブツブツ言いながら動かしていると、あっという間に一日が終わってて驚く。なんてことになればゲームづくりが楽しくなるだろう(人の暮らしとしてそれでいいのだろうかという不安は置いておくとしてな)。


 

ゲーム会リポート

17時で道場が終了したあとは、19時までゲーム会。
私(与儀)は、プレイ動画を撮る練習にいそしんでいたためノープレイだったが、みなさん、自作ゲームのテストプレイにはげんだり、道場のなかで紹介された「ぶくぶく」や「大炎上」をプレイしたりしていた。

「ぶくぶく」

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ゲームの詳細は、道場リポート参照のこと。

「大炎笑」

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ネットにおける炎上を疑似体験できるゲーム。
最初にお題があり、いかにも炎上しそうなことを書く。どのひとがいちばん炎上しそうか指をさしあい、最初の炎上レベルが決まる。そこからクソコメを送り合い、どんどん炎上レベルを上げていく。

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(お題:オタクについて)

 

(テキスト:与儀明子)

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